古書古書にっき。

本と本屋さんが大好きな素人店主による読書日記及び本屋、本に関するイベントのこと。

02~08.冬休みの課題図書8冊「テーマ:読み漁り」

年末年始休暇に入る前に10冊用意して、

三が日は初詣以外ほぼ外出せず、読みふけっていた。

冬とは思えない暖かい日差しを浴びながら、縁側で本を読む。

すごく贅沢しているようになってきた。

「新年から幸せ~」と思いつつ、結局暑すぎて汗をかくはめになり、

ひっそりと部屋の奥に引っ込んだのであった。

 

 

 

<仕事関係>

02.「想いをブランディングする経営」

関野 吉記 著

 日経BPコンサルティング

 

休みに読んだせいか、ビジネス用語のカタカナが頭に入ってこない。

最近働きながらずっと「企業が実現したい最大の目標なんだろう」と考えている。

今の業務に関連する事、というか根幹になければならない事なので、

勉強しなければと思い、本書を手に取った。

経営コンサルタントの著者の案内で、自身の企業について様々な想いを持った経営者が登場する。

特に印象に残ったのが、日本体育施設株式会社(昭和46年創業)

この会社は国立競技場や日産スタジアムなどのスポーツ施設や学校の校庭などの施工及び管理を手掛けている。

好記録を目指す陸上選手たちのために、最適な陸上トラックの硬さになるまでとことん追求している人たちがいたなんて、初めて知った。

経営理念は「スポーツ・レクリエーション施設の建設を通じて健康な社会の発展に貢献する」

施設管理だけでなく、スポーツ普及のため、水泳指導管理士などの育成も積極的に努めている。

聞きかじった話では、顧客・社員・地域の三つに貢献するという方針を掲げている企業は必然的に業績も上向くとか。志が高い、は大げさか。もっと踏み込んで聞いてみたい。 

 

想いをブランディングする経営

想いをブランディングする経営

 

 

 

<本関係>

03.「世界の美しい本屋さん」

 清水玲奈 著

エクスカレッジ

 

日本にも面白い本屋さんは増えているが、

美しい本屋はどれくらいあるだろう。

非常にうらやましくなる。

5年以内に世界の本屋を巡る旅を実現したい。

 

 

世界の美しい本屋さん

世界の美しい本屋さん

 

 

04.「本棚にもルールがある」

成毛 眞 著

 ダイヤモンド社

 

著者は元マイクロソフト日本法人社長であり、書評サイト「HONZ」代表。

著者は自身の本棚づくりに2回失敗した経験から、作家や著名人の本棚がどういうものだったかを研究し、理想の本棚の完成を目指す。

江戸川乱歩の土蔵書斎などが紹介される中、印象に残ったのが、幕末の探検家・松浦武四郎による「一畳敷」。

全国の古刹から集めた木材で作った、たった一畳の書斎。

そこに寝転んで本を読んだらどんな音、臭いがするだろう。

そのまま眠りに落ちてしまいたい。

 

 

 

05.「荒野の古本屋」

森岡 督行 著

晶文社

 

神保町の老舗書店で勤務後、独立して自分の本屋を開いた森岡さんのエッセイ。

東京・茅場町で美術書や写真集をメインに扱いながら、2015年には1冊の本を売る「森岡書店銀座店」をオープン。

どちらも私の手帖の中の、行きたい本屋リストの上位に入っている。

大学卒業後すぐ就職をしないという選択をした森岡さんが、どうして個人で本屋を開業したのか。

あっさりと軽快に、たまに深刻に、現在の道にたどり着くまでの歩みがひも解かれていく。

 

 

荒野の古本屋 (就職しないで生きるには21)

荒野の古本屋 (就職しないで生きるには21)

 

 

06.「本なんて!作家と本をめぐる52話」

作者:芥川龍之介他多数

キノブックス 

 

著名な作家たちの本まつわるエッセイを集めた面白い切り口の本。

ちょっとうれしかったのは、朝井リョウさんと同じ読書方法をしていたこと。 

朝井リョウさんの作品まだ未読ですごめんなさい。

 

 

<興味のおもむくまま系>

07.「201冊目で私が一番伝えたかったこと」

苫米地 英人 著

ヴィレッジブックス

 

私的「怪しい人上位10人以内」に入る苫米地氏。

ついに著作を読む機会がやってきた。

コンフォートゾーンなど横文字を斜め読みしながら感じたのは、

良い思い込みをするということなのかな、と。

コーチングを会社で研修させていただいているけれど、

最近「コーチ」が廻りにも増えたように感じる。

 

201冊目で私が一番伝えたかったこと

201冊目で私が一番伝えたかったこと

 

 

08.「旅する八百屋」

青果ミコト屋  作

アノニマ・スタジオ

 

全国自然栽培されている本当に美味しい・栄養のある野菜たちを選び、

定期宅配やイベントでの販売を行っている「青果ミコト屋」さん。

店主のお二人は、ミコト屋の前からの長い縁があり、別業種で起業してバリバリ稼いでいたというコンビ。そこから転身して八百屋を始めたきっかけや料理家との対談が掲載されている。

私は自然栽培=有機栽培と思っていたが、どうも農薬の有無だけで区切れないところがあるらしい。二人は「野菜は人を映し出す」をモットーに、全国の農家さんをキャンピングカー「ミコト屋号」で巡り、ここ九州にもやってきている。

心に残ったのは、島原半島・雲仙で「種採り」を行っている岩崎さん。

島原は20代前半の一時を過ごした大事なまち。

あの包み込むような深い緑の中で、岩崎さんが畑から、貴重な種をひとつひとつ採取していく神秘的な画が頭に浮かんだ。

 ふだん何気なく食べているものの原点について、考えたことあったかな。

ミコト屋さんが九州で出店されるときはぜひ店先を覗いてみたい。

 

旅する八百屋

旅する八百屋

 

 

 

 せとは

 

2016.0101~03読了

 

 

01.狩猟を通していのちとの距離を考える「わたし、解体はじめました」

 

「わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくりー」

畠山 千春 著

木楽舎

 

著者は、福岡県糸島市でシェアハウスを営む畠山 千春さん。

ばっちり同年代である。

さらに、私の家から彼女のシェアハウスまでは自転車でひょいっと行けるほど近い。

直接お会いしたことはないが、SNSで彼女の結婚式映像を拝見したことがある。

(「結婚キャンプ」というタイトルの動画は「いとしまシェアハウス」のFaceBookで公開されています。ぜひ見てください。)

その映像から溢れる多幸度に私は不覚にも涙し、大雨の中、たくさんの人に囲まれて笑顔を絶やさない畠山さんに興味を持った。

だから彼女の名前が書かれている本を見た時、思わず手に取っていた。

 

畠山さんは普通のOLだった。東日本大震災までは。

街は帰宅困難者が溢れかえり、食料がお店から消えた。

当時横浜に住んでいた畠山さんは「お金っていざというとき頼りにならない!」と実感する。

「どんな環境でも生きていけるような技術を身に付けたい」と決意した畠山さんは動き出す。

鶏の解体ワークショップをはじめとし、自然溢れる糸島への移住。

烏骨鶏を卵から育てて、涙ながらに絞めて解体し、皆でいただく。

狩猟免許を取得し、凄腕の師匠から罠のコツを厳しく教わりつつ、イノシシを獲ったり…。

行動する彼女はとてもパワフルで、だけど、悩んで涙したり、山に入る格好がおしゃれ(私から見て)だったり、彼女もやっぱり女子なんだなと感じた場面もあった。

 

私もお肉は好きだ。特に鶏肉は大好きだ。

私が食べるために、毎日鶏を解体してくれている人がいることは知っているけれど、

深く考えないようにしている。

小学生が豚を育ててみんなでいただく「命の授業」のことはよく聞く。

荒川弘先生の漫画「銀の匙」でも主人公が育てた豚を自分で買って食べるシーンが出てくる。

畠山さんは初めて鶏を自分の手で絞めて食べたとき、「いつも食べている食事が『もの』ではなく、『いのち』だったことを再確認する事ができた」と書いている

畠山さんは「いのち」の近くにいるんだな、と感じた。

頂くいのちについて、私の中の答えはまだない。

 

ただ、いつも、食事はお腹がすくままにがつがつ食べ始めてしまうが、

今日はきちんと「いただきます」と言おうと思った。

 

 

 

せとは

 

2016.01.03 読了

 

 

わたし、解体はじめました ─狩猟女子の暮らしづくり─

わたし、解体はじめました ─狩猟女子の暮らしづくり─