01.狩猟を通していのちとの距離を考える「わたし、解体はじめました」
「わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくりー」
畠山 千春 著
著者は、福岡県糸島市でシェアハウスを営む畠山 千春さん。
ばっちり同年代である。
さらに、私の家から彼女のシェアハウスまでは自転車でひょいっと行けるほど近い。
直接お会いしたことはないが、SNSで彼女の結婚式映像を拝見したことがある。
(「結婚キャンプ」というタイトルの動画は「いとしまシェアハウス」のFaceBookで公開されています。ぜひ見てください。)
その映像から溢れる多幸度に私は不覚にも涙し、大雨の中、たくさんの人に囲まれて笑顔を絶やさない畠山さんに興味を持った。
だから彼女の名前が書かれている本を見た時、思わず手に取っていた。
畠山さんは普通のOLだった。東日本大震災までは。
街は帰宅困難者が溢れかえり、食料がお店から消えた。
当時横浜に住んでいた畠山さんは「お金っていざというとき頼りにならない!」と実感する。
「どんな環境でも生きていけるような技術を身に付けたい」と決意した畠山さんは動き出す。
鶏の解体ワークショップをはじめとし、自然溢れる糸島への移住。
烏骨鶏を卵から育てて、涙ながらに絞めて解体し、皆でいただく。
狩猟免許を取得し、凄腕の師匠から罠のコツを厳しく教わりつつ、イノシシを獲ったり…。
行動する彼女はとてもパワフルで、だけど、悩んで涙したり、山に入る格好がおしゃれ(私から見て)だったり、彼女もやっぱり女子なんだなと感じた場面もあった。
私もお肉は好きだ。特に鶏肉は大好きだ。
私が食べるために、毎日鶏を解体してくれている人がいることは知っているけれど、
深く考えないようにしている。
小学生が豚を育ててみんなでいただく「命の授業」のことはよく聞く。
荒川弘先生の漫画「銀の匙」でも主人公が育てた豚を自分で買って食べるシーンが出てくる。
畠山さんは初めて鶏を自分の手で絞めて食べたとき、「いつも食べている食事が『もの』ではなく、『いのち』だったことを再確認する事ができた」と書いている。
畠山さんは「いのち」の近くにいるんだな、と感じた。
頂くいのちについて、私の中の答えはまだない。
ただ、いつも、食事はお腹がすくままにがつがつ食べ始めてしまうが、
今日はきちんと「いただきます」と言おうと思った。
せとは
2016.01.03 読了